横浜福島県人会創立100周年記念総会・懇親会の実施報告

 去る令和6年6月22日(土)、ブリーズベイホテル(JR桜木町南口)にて、会員や来賓約50名が参加し、横浜福島県人会創立100周年記念総会・懇親会が開催されました。総会では審議のほか、表彰や記念講演が行われました。

会の中では、内堀福島県知事のメッセージ紹介、福島県東京事務所長鈴木晶さん、東北6県人会当番県の横浜山形県人会長菊地敏幸さん、顧問の参議院議員三浦信祐さんのご挨拶、参議院議員佐藤正久さんや市議会議員斎藤たつやさんのメッセージ披露がありました。

懇親会では、かつて横浜に住み、福島県磐梯町の夏季映画学校に20年間関わられた島崎さんが率いる菊乃屋のチンドン屋さんが、「ブルーライト横浜」から復興支援ソング「花は咲く」まで、懐かしいメロディを披露してくださいました。このほか、余興には①落語:極楽亭とんぼ、②歌謡詩吟「白虎隊」:椛田鳳陽、③ハープ演奏(ふるさとなど):みどりの会の方々が出演し、盛り上げてくださいました。

なお、記念品として福島県人会名入りのタオルや喜多方ラーメンなどが配られました。

記念講演は、堀 雅宏(喜多方出身)元横浜国大教授が自身の生い立ちと横浜福島県人会との出会いについて語り、「環境と健康と幸福」という演題で行われました。以下はその概要の要旨です。

 

記念講演会

 演題:環境と健康と幸福

 演者:堀 雅宏(元横浜国大教授)

現代の日本の生活環境では、「持続可能な環境・健康・快適性」に多くの人の関心が向けられ、とくにここ数十年は安心・安全が求められてきました。地球規模の汚染では年ごとに温暖化が進み、異常気象の90%は温暖化で説明できると言われています。温暖化が急速に進み、生態系(動植物)が順応できないことが問題で、CO₂だけでなくメタンなどの抑制対策はコストをかけても進めなければなりませんが、これからは温暖化しても対応できるようにする対策も必要になります。

健康に関わる環境問題、特に化学物質による汚染(空気、水、食べ物)は一部(福島の放射能、一部の作業環境)を除いてほとんど心配することはなく、コロナウイルスが弱毒化した今、油断せずに感染症に備えていけばよいと考えられます。健康との関係で言えば、むしろいろんな情報が入り過ぎることによる心理的ストレスの影響の方が問題かもしれません。特にテレビ、インターネット、新聞、週刊誌などのマスコミは注目を集めるためにあえて危険性を強調するので、人間関係の軋轢とともにストレスの原因になります。(例:環境ホルモン、輸入牛肉の狂牛病、遺伝子組み換え食品、送電線付近の電磁波)ストレスは体調を整え健康を維持してくれている神経系・ホルモン・免疫系を乱すからです。対策としてよく言われるのは、①運動(体調に合った)、②栄養(バランス、高齢者ではタンパク質)、③社会的なつながり、そして「睡眠の質」のほかに「体を冷やさないこと(熱中症予防でも冷やし過ぎない)」、「意識して深呼吸する」ことが役に立つと思われます。

「心配し過ぎ」はたいがいストレスの素で、むしろ「うまく開き直る」くらいがちょうどいいのではと私が思うこともしばしばです。誤解を恐れずに言えば、「事実よりもそれをどう考え・受け止めるかの方が重要」だと思います。13年前の東日本大震災で福島県は原発事故による放射能汚染に見舞われました。今も続く対応を私たちは忘れてはならないのですが、放射能汚染との向き合い方は、ウシを見殺しにできないから逃げなかった人から、基準値をクリアしたのでリスクはあるが戻った人、心配したくないから戻らなかった人、将来に絶望し精神疾患になった人まで分かれました。

環境を守り、健康であっても人の幸福に繋がらなければあまり意味はありません。

「探してもどこにもない。それは求めるものでなく、人と出会い、人のために何かしてあげられた時などに結果として感じるものである。」と言われる“幸福”ですが、健康や寿命とも大いに関係しています。また幸福は何かを獲得、達成したときにも感じられるものですが、感動・感激こそ幸福の本質だと私も思っています。心から笑えたときも同じです。

震災やコロナ禍で、人間の絆の大切さが言われてきましたが、「人間の幸福はよき人間の関係の中にこそある」と思えてなりません。

ドイツの文学者ヘルマン・ヘッセは「幸福は純粋な子供の頃の記憶にある」としていますが、“望郷”は県人会のキーワードでもあります。人生にはいろんな出会いがありますが、スマホなどによって情報が容易に手に入り、また趣味や健康のための集まりなども多種多様に持たれる時代になりましたが、福島県縁の方たちが集う県人会でよき出会いを求めるのも一つの方法ではないでしょうか。

※講演では触れませんでしたが、近年、特に南海トラフを震源とする大地震のリスクが大きくなっていると言われています。13年前の震災時のご自身の経験を生かすこと、第一撃で致命傷を負わないようにすることが重要です。当日の講演に使用したPPTを以下に添付します。 

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「環境と健康と幸福」講演時のパワポ資料
堀 雅宏:元横浜国大教授が自身の生い立ちと横浜福島県人会との出会いについて語り、ご講演「環境と健康と幸福」の説明に使用されたパワポのPDF資料です。
「環境と健康と幸福」講演時のパワポ.pdf
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